- 著者
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榎本 浩司
Koji Enomoto
- 出版者
- 関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
- 雑誌
- 研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, pp.199-218, 2013-03
グリム兄弟の『Kinder- und Hausmarchen(子供と家庭の童話集)』は世界各国で読み親しまれているメルヒェンであり、そこに登場する「魔女」はよく知られた存在である。しかし、グリム童話集には魔女以外にも魔法や魔術、超人的な力を持つ女性たちが登場する。「魔法使いの女」や「賢女」がそうである。彼女たちは魔女と一括りにされがちな存在だが、メルヒェンの中でそれぞれどのような役割を演じ、主人公や他の登場人物との関係性はいかなるものか、また彼女たちに差異はあるのか。本稿では、グリム童話に登場する魔法や超人的な力を行使する女性たちの特徴や行為、容姿を比較し分析することにより、彼女たちのメルヘンでの役割と位置づけを論じる。