- 著者
-
Kouichi Shiozawa
Kaoru Kohyama
Keiji Yanagisawa
- 出版者
- Japanese Association for Oral Biology
- 雑誌
- 歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.59-63, 2003-04-20 (Released:2010-06-11)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
-
23
27
食品咀嚼時の嚥下誘発にかかわる食塊物性をより詳しく調べるために, 咀嚼の中間期 (M), 嚥下直前 (L) および嚥下までの咀嚼回数の20%余計に咀嚼したとき (+20%) の食塊をそれぞれ口腔内から回収し, その物性をテクスチャー測定した. 11名の成人被験者にモチ (RC), ピーナッツ (P) およびハードビスケット (HB) を咀嚼させた. 食塊の硬さはいずれの食品咀嚼でも嚥下直前には有意に減少したことから, 食塊の硬さの減少は嚥下誘発の直接要因ではないものの, 重要な役割を果たしていることが示唆された. PおよびHB食塊では嚥下直前には付着性は最大値を示し, また凝集性も増大した. これに対しRC食塊では, 凝集性は変化しなかったが付着性は有意 (p<0.001) に減少した. これらの結果から, 硬く破砕しやすい食品咀嚼では1つにまとまった食塊が形成された時点で, 一方, 付着性に富む食品咀嚼では食塊の付着性の程度が嚥下閾値まで減少した時点で, 嚥下が誘発されることが示唆された.