著者
大谷 京子 Kyoko Otani
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal of social welfare, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.130, pp.15-29, 2014-03-31

ソーシャルワークアセスメントプロセスにおいて求められるソーシャルワーカーの態度と,プロセスを進めるための行為・スキルについて,先行研究をレビューした.態度としては,ソーシャルワークの価値に根ざした認識論を基礎にしたときに求められる態度について先行研究を整理した.その「世界の見方」として,「問題の所在は社会の抑圧構造にある」という見方,「真実は一つではない」という見方を取り上げた.そこから導き出されるあるべきワーカーの態度とは,自らの役割に対する徹底的な自己批判的省察と,クライエントに対して欠損を負わせないストレングス視点,自らの偏った見方へのわきまえとクラエントとの協働を促進する態度である.行為・スキルとしては,①どのようなデータを,②どのように集め,③いかに分析し,④記録に残すか,ソーシャルワーカーの行為とそこで使われるスキルに関する先行研究を整理した.これらの整理を基に,ニーズアセスメントに焦点を絞って研修プログラムを開発することが今後の課題である.