著者
Takanori KOBAYASHI Leo MATSUOKA Keiichi YOKOYAMA
出版者
The Japan Institute of Energy
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.441-444, 2017-10-20 (Released:2017-10-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

セシウム交換反応133CsI (v = 0, j = 0) + 135Cs → 133Cs + I135Csの反応断面積と速度定数を評価するため,準古典的トラジェクトリー計算を行った。トラジェクトリー計算は,MP2/def-QZVPPDレベルのab initio電子状態理論計算より得たポテンシャルエネルギー曲面上で行った。得られたポテンシャルエネルギー曲面より,このセシウム交換反応では活性化障壁無く容易にCs2I中間状態が形成されることが示唆された。このCs2I中間状態の2つのCs-I結合長は同じであり,化学的に等価である。セシウム交換反応の反応断面積は,衝突エネルギーが高くなるにつれて小さくなる傾向を示した。反応速度定数は温度500 Kから1200 Kの間で約3×10-10 cm3 molecule-1 s-1と計算され,わずかな負の温度依存性も確認された。