著者
曽 琳雁 Linyen Tseng
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-63, 2013-01-10

本稿においては台湾で実施されてきた選挙制度の改革についての分析を行う。台湾では、2004年まで国政選挙において中選挙区制が採用されていたが、様々な問題が発生したために、選挙制度改革の動きが起こった。改革の過程において保守勢力による抵抗も見られたが、最終的に小選挙区比例代表並立制が採用された。2012年までに、並立制で計2回の選挙が行われたが、指摘されていた問題が期待通りに改善していないばかりか、新たな課題も生じることとなった。本稿においては特に一票の格差問題に注目し、相対代表指数を用いて分析を試みた。その結果、「人口平均の上下15%」原則と「各県から少なくとも一人」という憲法の増加条文が、一票の格差問題を拡大させていることが明らかになった。それは憲法本文の平等原則に抵触している可能性があるため、早急な解決が期待される。