著者
北村 知史 キタムラ サトシ Kitamura Satoshi
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.3, pp.27-38, 2014-01-10

研究ノート(Note)日米安保条約は、日本の安全保障政策の根幹であり、日本政府は、日米安全保障体制の意義について、(1)米国の軍事力による抑止力を有効に機能させることで、日本側の適切な防衛力の保持と合わせ、日本の安全を確保すること、(2)日本に駐留する米軍のプレゼンスによって日本の周辺地域の平和と安全が確保されていること、そして、(3)米国と協力して国際的な安全保障環境の改善に取り組むことが日本の平和と繁栄をさらに確かなものになることの三点を指摘している。第1章、第1節で 日米安保条約と改定の経緯で日米安保条約の制定と内容の日米安保条約の制定過程を明示した。第2章では日本の世論から見る日米安保条約として、世論は日米安保条約がどのようなものとして見られていたのかを明らかにした。第2章、第1節の世論の変動期1948年-1970年では1960年の安保改定前には世論は安保条約に対して、反対の態度を占めるなど変動を見せたが、第2節の世論の安定期 1971年-現在では世論は安保条約に安定した反応を見せた。第3章 日米安保条約に与えた世論の影響─同心円モデルによる分析では、1987年にヒルズマンが示した同心円モデルを用いて分析した。終わりにでは、これまで日米安保条約の制定経緯とその後の運用過程を概観し、日米安保体制は現在でも課題があるとはいえ、今後の様々な課題はあっても、日米の両国間を取り巻く安全保障上の課題を日米同盟が強固な関係であることによって問題を解決することこそが日本の選択であることを提言した。
著者
曽 琳雁 Linyen Tseng
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-63, 2013-01-10

本稿においては台湾で実施されてきた選挙制度の改革についての分析を行う。台湾では、2004年まで国政選挙において中選挙区制が採用されていたが、様々な問題が発生したために、選挙制度改革の動きが起こった。改革の過程において保守勢力による抵抗も見られたが、最終的に小選挙区比例代表並立制が採用された。2012年までに、並立制で計2回の選挙が行われたが、指摘されていた問題が期待通りに改善していないばかりか、新たな課題も生じることとなった。本稿においては特に一票の格差問題に注目し、相対代表指数を用いて分析を試みた。その結果、「人口平均の上下15%」原則と「各県から少なくとも一人」という憲法の増加条文が、一票の格差問題を拡大させていることが明らかになった。それは憲法本文の平等原則に抵触している可能性があるため、早急な解決が期待される。
著者
北村 知史 キタムラ サトシ Kitamura Satoshi
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.1, pp.93-107, 2012-02-01

Note本論文の目的は、鳩山首相自身が政権の最大目標と位置づけ、その解決に失敗した普天間基地の移設問題の政治過程を分析することにある。そこで、政権における首相や閣僚、政党党首などの政治的責任者の主要動向を新聞報道と先行研究を通じて明らかにすることである。2の鳩山政権における普天間基地移設問題では、鳩山政権の発足から退陣までの首相や閣僚、政党党首などの政治的責任者普天間基地に関する主要動向を新聞記事を中心にして時系列に表記した。時系列に表記した結果、鳩山首相の普天間基地の移設に関する発言は政権が発足してから辞任するまで一貫していないことが明らかであった。3.1の首相動静から見る鳩山首相の普天間問題におけるリーダーシップでは、首相動静から見た鳩山首相の普天間問題におけるリーダーシップの分析をした。3.2の鳩山首相による議題設定とリーダーシップの欠如では鳩山首相が普天間基地を県外に移設という議題設定をしたことについての分析をした。3.3の世論調査からみる鳩山政権のへの批判では朝日、読売、毎日、日経の4紙の世論調査の個別の内閣支持率の動向を確認した。4の結章では鳩山首相がこの政治課題において失敗した要因を指摘した。本論文では、鳩山首相の普天間移設問題をめぐるリーダーシップの問題と世論の影響力の観点からの分析を試みた。
著者
中井 良育 ナカイ ヨシヤス Nakai Yoshiyasu
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-56, 2014-01-10

研究ノート(Note)本稿では、介護サービスの未利用者の現状とその要因を捉え、介護サービス未利用者が抱える課題を明らかにするため、福岡市で実施された高齢者実態調査結果を基に性別、要介護度、年齢、世帯構成の側面から分析を行った。その結果、介護サービスの利用に至らない要因には、介護保険制度における介護サービスの利用制限、加齢や疾病による活動意欲の低下、介護保険制度に対する理解不足以外に、社会関係の希薄化、性的役割分業などの社会的役割規範といった要因が影響を与えている可能性があることが示唆された。
著者
岩﨑 早穂 Saho Iwasaki
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.9, pp.21-30, 2020-02-25

本稿では柳田國男と宮本常一の旅概念を通して今後の観光政策の拠り所について考察する。従来型の観光は変化に直面している。明治から昭和にかけて日本全国を旅した柳田、宮本の旅概念を整理することは、今日まで続く観光の諸形態と観光政策とを考察するうえで重要な意味を持つ。彼らの旅に共通する、人々の暮らしに対する尊敬と共感、驚きに基づいた学びの獲得は、観光政策の今後の方針に大いに参考されるべきものである。
著者
東根 ちよ Chiyo Higashine
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
no.4, pp.39-53, 2015-03-10

本稿は、「有償ボランティア」に関する先行研究を時系列に整理した上で、今後の研究課題について考察を行っている。「有償ボランティア」と称される個人の活動形態は1980年代、高齢者介護分野における会員制の「支え合い」活動の特徴として現れたと考えられている。また1998年のNPO法の施行以降は、会員制の「支え合い」活動のみならず、NPO法人内部における活動形態としても広がりをみせている。一方、「有償ボランティア」の位置づけはかねてから曖昧なまま運営され続けており、その点が時として「有償ボランティア」に過度の負担を強いたり、既存の法制度の適用に関して実務的な課題を生じさせたりしている。そのような中、本稿の考察では「有償ボランティア」には個人として独立して活動を行う「個人形態」と、組織の一員として活動を行う「組織所属形態」の二つの形態が存在することを確認している。加えて、今後の「有償ボランティア」研究には、実証的研究の蓄積と、先行研究で示される四つの基盤整備の方向性に関して具体的な検討が求められることを示している。研究ノート(Note)
著者
中井 良育 ナカイ ヨシヤス Nakai Yoshiyasu
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集 = Doshisha policy and management review
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-56, 2014-01-10

研究ノート(Note)本稿では、介護サービスの未利用者の現状とその要因を捉え、介護サービス未利用者が抱える課題を明らかにするため、福岡市で実施された高齢者実態調査結果を基に性別、要介護度、年齢、世帯構成の側面から分析を行った。その結果、介護サービスの利用に至らない要因には、介護保険制度における介護サービスの利用制限、加齢や疾病による活動意欲の低下、介護保険制度に対する理解不足以外に、社会関係の希薄化、性的役割分業などの社会的役割規範といった要因が影響を与えている可能性があることが示唆された。
著者
曽 琳雁 ソウ リンガン Tseng Linyen
出版者
同志社大学政策学部・総合政策科学研究科政策学会
雑誌
同志社政策科学院生論集
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-63, 2013-01-10

研究ノート(Note)本稿においては台湾で実施されてきた選挙制度の改革についての分析を行う。台湾では、2004年まで国政選挙において中選挙区制が採用されていたが、様々な問題が発生したために、選挙制度改革の動きが起こった。改革の過程において保守勢力による抵抗も見られたが、最終的に小選挙区比例代表並立制が採用された。2012年までに、並立制で計2回の選挙が行われたが、指摘されていた問題が期待通りに改善していないばかりか、新たな課題も生じることとなった。本稿においては特に一票の格差問題に注目し、相対代表指数を用いて分析を試みた。その結果、「人口平均の上下15%」原則と「各県から少なくとも一人」という憲法の増加条文が、一票の格差問題を拡大させていることが明らかになった。それは憲法本文の平等原則に抵触している可能性があるため、早急な解決が期待される。