著者
松井 邦人 MAINA James W.
出版者
東京電機大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

現在,舗装のマネージメントシステムの中で,火急の課題として舗装の理論設計システムの構築に関心が集まっている.土木学会舗装工学委員会から,理論設計に必要な舗装構造解析ソフト(GAMES)を公開し,舗装技術者が広く利用できるようにしてほしいとの依頼があり,2003年9月に土木学会舗装工学ライブラリー3として出版の準備をすることが決まった.2005年2月に脱稿し,現在印刷中である.GAMESの基本ソフトウエアは,研究代表者の研究室で開発しており,車両の自重を考慮した鉛直方向の分布荷重と,水平方向の制動荷重を考慮できる.研究分担者は本ソフトウエアで用いられている理論をすっきりした形に再構築し,計算効率化と計算精度の向上を図り,さらにユーザが利用しやすいようにウインドウズ化を行い,本ソフトウエアの開発に多大なる貢献を果たした.本ソフトウエアの精度については,同様の機能を持ち世界的にも評価の高いシェル石油開発のBISARとの比較も行っており,GAMESの方が優れていることを確認している.すでに本ソフトウエアは,現在進行中の羽田空港拡張工事と関西空港拡張工事の設計で利用され,超大型ジェット機の設計にも十分に対応できることを確認され,実務にも役立つことが実証されている.さらに研究としては,舗装表面に作用するより複雑な荷重形態(ねじり荷重やモーメント荷重)に対する解析も行うことができる理論を構築,論文にも投稿している.また,舗装マネージメントで必要な舗装構造評価についても,従来の理論に改良を加え新しいDBALMを開発し,初期値の影響を評価した.このソフトウエアでは動的FEMを用いているが,現在波動理論を解析的に解く方向で作業中であり,理論構築は終了しコード化が最終段階にある.