著者
MURAI Shota YANG Ae Na KOBAYASI Kohta I. コバヤシ コウタ 小林 耕太
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:21895937)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.131-134, 2018-07

音楽聴取は"鳥肌が立つ"ほど強烈な情動経験をたびたび引き起こす。これまで"鳥肌が立つ"という状態を予期することや体験することが、報酬系回路に関連していると報告されてきた。本研究では、音楽による強烈な情動経験の個人差と脳神経系の関連性について、磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging, MRI)を用いた解剖学的検討を行った。19人の被験者は、音楽を聴いて鳥肌が立つような気持ちの時に手元のボタンを押す課題に取り組んだ。実験刺激には、各被験者の鳥肌が立ったことのある曲を使用した。実験の結果、音楽に対して喚起される情動感度の個人差は、右尾状核、左島皮質、右中心後回の灰白質の容積に相関していることが示された。本研究は、鳥肌が立つような審美的体験に関連した解剖学的構造を示し、音楽知覚における大脳辺縁系の報酬系回路の役割を強調するものである。