著者
Martina Becatini
出版者
東京大学フィレンツェ教育研究センター
雑誌
Cultura Italo-Giapponese : Annali del Centro Studi e Ricerche dell'Università di Tokyo in Firenze
巻号頁・発行日
vol.1, pp.73-115, 2004-06

19世紀後半から岩倉具視や岡倉天心の訪問を受けたフィレンツェでは、幾人かの美街商と蒐集家を中心に日本文化への関心が高まった。次第に日本趣味は本格化し、プッチーニの『蝶々夫人』はその好例となった。一方、マッキア(色斑)派と呼ばれる画家たち、ファットーリやシニョリーニらはパリのジャポニスムを担う画家同様、日本の浮世絵を重要な霊感の源とみなしていた。またトスカーナ地方には、アール・ヌーヴォーの流れの中で日本趣味をとりいれた室内装飾や建築物が残されている。