著者
Kitagawa-Kitade Toshie Maruyama Haruhisa
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.133-139, 1979
被引用文献数
2

混合型の自動氷晶核測定装置を用いて,1967年9月から1970年12月まで,気象研究所の構内で連続的に大気中の氷晶核濃度を測定した。得られた資料のうち最も測定の連続している1968年4月から1970年3月までの二年間を選んで,濃度の変化について検討した。<BR>その結果,10分間隔で測定された-20℃核の平均氷晶核濃度の季節変化は,冬季には66.2個/<I>l</I>と最も高く,夏季には7.6個/lと低く,春季と秋季は20数個/<I>l</I>で似たような価であった。また梅雨入りから梅雨あけまでと9月から10月にかけての秋霖期の平均濃度には顕著な差はみられなかった。<BR>月別の氷晶核濃度は,1月,2月,12月に高く,6月,7月,8月に低かった。特に8月は年間の最低値3.8個/<I>l</I>を示し,月によって大きく変化していることがわかった。季節別に濃度の日変化をみると,変化のカーブは,夏季に比較して冬季の方が変動が大きく,しかも,冬季には濃度は夜間に低く,昼間に高い傾向がはっきりしていた。<BR>氷晶核濃度のばらつきを季節別に調べてみると,濃度の分布の標準偏差植は夏に最も大きく,冬季に最も小さかった。すなわち,夏季のばらつきが年間を通して一番大きいことがわかった。<BR>以上の結果について気象学的な検討を加えた。この報告書は,氷晶核濃度が過去と現在でどのような変化を示しているのか,その年々の変化を知るための第一段階のものである。