著者
坂上 雅翁 サカガミ マサオ Masao SAKAGAMI
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-33, 2008-03

光明山寺を中心とした南都浄土教についてみるとき,覚樹,実範,永観をはじめ,光明山寺から高野山に移り,のちに法然に帰依した明遍や,高野山往生院に移りのちに京都禅林寺の十二世となった静遍の存在はよく知られている。本論では,まず東大寺東南院三論系の念仏別所としての光明山寺の性格を,最近の研究成果を元に再検証する。さらに,高野山を始め,醍醐寺,禅林寺との関係,および大阪一心寺蔵「一行一筆阿弥陀経」や『高野山往生伝』をとおして,中世の南都仏教界における光明山寺を中心とした南都浄土教の展開をみていく。