著者
下楠 昌哉 Masaya Shimokusu
出版者
同志社大学英文学会
雑誌
主流 (ISSN:03893138)
巻号頁・発行日
no.71, pp.21-37, 2009

論文(Article)裏表紙のタイトル表記に誤りあり (誤)Ryutaro → (正)Ryuta
著者
下楠 昌哉 シモクス マサヤ Masaya SHIMOKUSU
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-31, 2003-03-31

本論では、ブラム・ストーカー(1847-1912)の初期の小説作品である『蛇峠』(1890)、『ドラキュラ』(1897)、『海の神秘』(1902)における風景描写と、登場人物たちが利用する交通機関との関係性を扱う。鉄道の登場とその速度、および一九世紀半ばのイギリス本土における鉄道網の確立と旅行の大衆化は、ヴィクトリア時代の人々の視覚に重大な変容をもたらし、風景を見る者から隔絶した次々と移り変わる「パノラマ」として捉える感覚を、人々に遍く実装させるに至った。ストーカーの三作品はどれも旅行者を主人公としており、それらの作品における風景描写は、風景とそれをまなさす者との間の断絶と、その断絶を生み出した列車の速度の影響をはっきりと表象している。テクノロジーの発展と人間の知覚の変容との関係性を記録したメディアとして、ストーカーの小説を読み込んでゆくこと。それが本論で試みられているプラクシスである。This paper deals with the relationships between scenery descriptions and means of transport in three early works of Bram Stoker (1847-1912): The Snake's Pass (1890), Dracula (1897) and The Mystery of the Sea (1902). The invention of the train and its high velocity caused a critical change of perception. The establishment of the British railroad system and the democratization of tourism in the middle of the 19th century then allowed the perception to prevail among Victorians. People came to perceive landscapes through the windows of trains as a string of swiftly-changing "panoramas," which the seeing subjects were completely dissociated from what they saw. All protagonists of the three novels of Stoker are travelers. The scenery descriptions in the stories represent the gap between the landscapes and the subjects viewing them. The speed of characters' movements are also deeply related to the gap. The critical praxis attempted in this paper is to read Stoker's novels closely as media recording the relationships between technological developments and the change of human perception in the 19th century.
著者
下楠 昌哉 シモクス マサヤ Masaya SHIMOKUSU
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-31, 2003-03-31

本論では、ブラム・ストーカー(1847-1912)の初期の小説作品である『蛇峠』(1890)、『ドラキュラ』(1897)、『海の神秘』(1902)における風景描写と、登場人物たちが利用する交通機関との関係性を扱う。鉄道の登場とその速度、および一九世紀半ばのイギリス本土における鉄道網の確立と旅行の大衆化は、ヴィクトリア時代の人々の視覚に重大な変容をもたらし、風景を見る者から隔絶した次々と移り変わる「パノラマ」として捉える感覚を、人々に遍く実装させるに至った。ストーカーの三作品はどれも旅行者を主人公としており、それらの作品における風景描写は、風景とそれをまなさす者との間の断絶と、その断絶を生み出した列車の速度の影響をはっきりと表象している。テクノロジーの発展と人間の知覚の変容との関係性を記録したメディアとして、ストーカーの小説を読み込んでゆくこと。それが本論で試みられているプラクシスである。