著者
Maturawan Tunhikorn Danny W. Scott Hollis N. Erb
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.63-69, 2015 (Released:2015-07-29)
参考文献数
18
被引用文献数
1 5

猫の生検皮膚中に多数の肥満細胞がみられた場合,アレルギー性皮膚炎に矛盾しない所見であるとしばしば述べられている。今回,著者らはアレルギー性皮膚炎(143例)と非アレルギー性炎症性皮膚疾患(228例)に罹患した猫から採取され,ヘマトキシリン&エオジン(H&E)染色を施した皮膚生検標本を用いた後向き研究を実施した。本研究に用いた検体の全ては,1978年から2010年までの間にコーネル大学獣医学部解剖病理学部門に送付されたものであった。アレルギー性皮膚炎の猫と非アレルギー性炎症性皮膚疾患の猫との間で,真皮における肥満細胞数には有意差が認められなかった。またアレルギー性皮膚炎または非アレルギー性炎症性皮膚疾患のいずれに罹患した猫でも,肥満細胞数に関しては真皮浅層における数の方が,真皮深層における数よりも高値を示した。健常猫(31例)で調査したところ,真皮浅層における肥満細胞数は,トルイジンブルー染色を施した標本における数の方が,H&E染色を施した標本における数よりも高値を示した。