著者
Takeshi Odajima Mihoko Onishi
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.297-303, 1997-08-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
22
被引用文献数
1 4

ミエロペルオキシダーゼの触媒作用によって, 弱アルカリ性の溶液中で, エピネフリン, (R) -4- [1-hydroxy-2- (methylamino) ethyl] -1, 2-benzenediol, からアドレノクローム, 2, 3-dihydro-3-hydroxy-1-methyl-1H-indole-5, 6-dione, が生成されることを吸収スペクトルの測定と薄層クロマトグラフィーを用いて証明した。このアドレノクロームの生成反応はエピネフリンのo-セミキノンと考えられるフリーラジカルをもつ短寿命の中間体を経由して進行していることが電子スピン共鳴 (ESR) スペクトルの観測から証明された。このミエロペルオキシダーゼによって生成されるアドレノクロームの生体内の役割として, 創傷, 炎症の場において, ラジカル重合によって止血し, 痂皮形成を促し, 病巣を速やかに治癒させることによって, 生体を防御している可能性が考えられた。