著者
海後 宗男 カイゴ ムネオ Muneo Kaigo
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 = Educational Studies
巻号頁・発行日
vol.42, pp.191-227, 2000-03

本研究は、過去に行われたテレビ報道に関する諸研究において、テレビ報道活動から社会的現実構築、話題性や娯楽性の形成というそれぞれ異なる結果が受信側で起こることが指摘されているが、何故テレビ報道の受け手に、このように異なる結果が生起するのかという疑問からスタートした。テレビ報道に関する研究は数多くあり、様々な研究結果が発表されている。これまで報道番組の内容分析、あるいは効果分析が中心であった。しかし、内容分析は特定の報道の番組に限定され、効果分析もいろいろな効果が指摘されてはきたものの特定報道番組に限定されたものが多い。テレビ報道の発信要因と受信要因は相互に関連しているにも拘わらず、その発信要因と受信要因の相互関係により、異なる結果が起きる点についてはこれまでさほど注目されてこなかった。本研究では、全報道番組に基づいてテレビ報道の新しい研究視点を設定することを試み、発信時のテレビ報道のメディア・フレームと受信時の接触行動の志向がテレビ報道を研究する上で重要ではないかと考えた。