著者
荒木 菜穂 Naho ARAKI
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-19, 2016-03-15

フェミニズム的活動を行う女性グループでは、しばしば、権力構造を否定する関係性、すなわち、対等な関係性、「平場」の関係性が目指される。そこではしばしば、権力構造をともなう組織であれば解決されていたかもしれない困難が発生する。権力や権威を否定することは、フェミニズム的理念にはかなうが、活動が力を持ち、持続、発展していく際には足かせとなる。しかしそれは、結果として、それらの困難を乗り越えたグループが持続、場合によっては発展、成功していることを意味する。本稿では、フェミニズム的側面を持つ女性グループにおける平場の意味と、平場的組織のあり方の困難、その解決について、いくつかの事例を紹介する。女性が平場の関係性を持続させ、そこでの活動を発展させるちから、場合によっては外部の何らかの構造に働きかける権力を持つためにはどういったことが必要であるのかを知る道筋のヒントを明らかにしていきたい。