著者
Nguyen Thi Lam Hai 比良松 道一 金 鐘和 増田 順一郎 大久保 敬
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.191-197, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

ハカタユリの花は開花時には黄色であるが,一日で白色へ変化する.本性質を有し,さらにウイルス病を回避できる種子繁殖性品種の育成を目的に,ハカタユリ(♂)とその近縁種であるタカサゴユリ,テッポウユリ,およびシンテッポウユリ(♀)の種間交配をおこなった.交配 7 から 28 日後の発達中の子房の薄切片をショ糖 40 g・L−1,D マニトール 40 g・L−1,およびジェランガム 2.5 g・L−1 を含む MS 培地上で培養した.タカサゴユリ × ハカタユリおよびシンテッポウユリ × ハカタユリから雑種個体を得ることができたがテッポウユリ × ハカタユリからは得られなかった.順化した 179 個体中 79 個体は栽培 1 年以内に開花し,それらの花はハカタユリと同じ花色変化の性質を有していた.また,それらの内 28 個体はタカサゴユリが持つ多花茎性をも有していた.雑種個体は高い花粉稔性を示したが,それらの自家交配では成熟種子は得られなかった.