著者
Krebs John W. Strine Tara W. Smith Jean S. Noah Donald L. Rupprecht Charles E. Childs James E.
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.365-367, 1997

1995年に, 49州, コロンビア特別区, および自治領プエルトリコから, 疾病予防センターに対し, 動物の狂犬病症例7, 877件, 人間の狂犬病症例4件の報告がなされた. 全症例のうち, 92%近く (7, 247件) が野生動物で, 8%(630件) が家畜の症例であった. 報告された症例の総数は, 1994年の8, 230件から4.2%減少した. この減少は大部分, 北東部地域のアライグマの狂犬病報告症例が17.1%減少したことによる. この地域での狂犬病は現在, 同種動物間流行というより地域的流行となっている. 報告症例が例外的に増大している地域は, 狂犬病ウイルスが最近になってアライグマに入り込んだ地域, あるいは同種動物間流行が持続している地域である. この狂犬病ウイルス変異株に関連した同種動物間流行が増大した州 (狂犬病症例総数) は, メイン州 (1993年の3件から1995年には101件), ノースカロライナ州 (1990年の9件から1995年には466件), ロードアイランド州 (1993年の1件から1995年には324件), ヴァーモント州 (1993年の45件から1995年には179件) である. 狂犬病ウイルスのアライグマ変異株が現在見られるのは, アラバマ州, ペンシルヴェニア州, ヴァーモント州, ウェストヴァージニア州およびフロリダ州からメイン州にわたる大西洋岸諸州である. オハイオ州ではアライグマ変異株が1992年に1症例で発見されて以来みられなかったが, 1996年に再び発見されている.テキサス州中西部におけるキツネの狂犬病とテキサス州南部における犬とコヨーテの狂犬病の同種動物間流行は犬変異株によるもので, なお持続している. テキサス州で1995年に報告されたのは, キツネの狂犬病137件, 犬の狂犬病55件およびコヨーテの狂犬病80件 (全国では83件) である. コウモリの狂犬病の件数 (787) は25%近く増加し, 陸続きの48州中47州で報告されている. 全国の狂犬病の報告件数は牛136件 (前年比22.5%増), 猫288件 (同7.9%増), 犬146件 (同4.6%減) である. 猫は家畜の中では引き続き狂犬病症例の報告が最も多い動物であった. 人間について報告された狂犬病の症例はすべてコウモリに関連したウイルス変異株によるものであった. 18州と自治領プエルトリコで1995年に動物の狂犬病の減少が報告された. 1994年に減少が報告されていたのは, 28州とコロンビア特別区であった. 1995年に狂犬病の症例報告がなかったのはハワイ州だけである.