著者
Ki-ichiro Tanaka Toshio Ono Nobuhiko Katsura
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.219-226, 1988-04-20 (Released:2010-06-11)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

ミドリシャミセンガイ殻よりヒドロオキシアパタイトに強く吸着するタンパク画分を単離した。これは分子量14万で, アスパラギン酸, グルタミン酸, グリシンに富む酸性タンパクである。またニンヒドリン陽性の末同定の酸性成分を含む。一方, γ-カルボキシグルタミン酸は含まない。このタンパクのアミノ酸組成はオステオネクチンやボーンモルフォジェネテックプロティン (bone morphogenetic protein) のアミノ酸組成に類似している。このタンパクはカルシウム親和性を有し, α-ヘリックス, β-構造をかなり含み, そのコンフォメーションはカルシウムイオン濃度を高めても, ほとんど変化しなかった。このタンパク画分は疎水結合, S-S結合によって会合した多量体タンパクである。