著者
安藤 大地 Dahlstedt Palle Nordahl Mats 伊庭 斉志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.77-86, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
6 10

近年,音楽作曲の分野への対話型進化論的計算(IEC)の応用に関する研究は非常に発展してきている.この発展の背景には,人間の感性をコンピュータシステムに取り込むことは,コンピュータシステムの発展にとって必要不可欠という認識がある.しかしながら,IECを作曲に応用した従来のシステムは,実際の作曲家には積極的に使われてこなかった.この理由は,主にシステムを用いた作曲過程や扱うデータ形式が伝統的な作曲技法のそれとは大幅に異なるためである,と考えられる.そこで筆者らは,実際の作曲にIECシステムを活用することを目的として,新しい作曲支援システムを構築した.新しいシステムの主な特徴は,クラシック音楽の作曲家が馴染みやすい遺伝子表現や作曲過程である.また,実際にシステムを利用してピアノの小品を作曲し,その有効性を確認した.