著者
安藤 大地 Palle Dahlstedt Mats Nordahl 伊庭 斉志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.14, pp.55-60, 2005-02-18
被引用文献数
2

対話型進化論的計算(IEC)を用いた作曲支援システムに関する研究は,近年発展を続けている.しかしながら,既存の研究の多くは実際の作曲家に積極的に使用されることはなかった.その大きな理由は,対話型進化論的システムを用いた作曲と伝統的な作曲手法との間に大きな差異が存在することであると考えらえる.そこで筆者らは,第一線の作曲家が実際にシステムを利用することを目的として,それに適した遺伝子表現や作曲プロセスを考案した.また,それらを用いた作曲支援システムを構築し,有効性を確認した.Research on the application of Interactive Evolutionary Computation (IEC) to the field of musical composition has been improved in recent years, marking an interesting parallel to the current trend of applying human characters or sensitivities to computers systems. However, past techniques developed for the IEC-based composition have not necessarily proven very effective for the sake of professional use. This is due to the large deference between data representation used by IEC and authorized classic music composition. To solve these difficulties, we purpose a new IEC approach to music composition based on the classical music theory. In this paper, we describe an established system according to the above idea, and how successfully we can compose a piece using the system.
著者
安藤 大地 Dahlstedt Palle Nordahl Mats 伊庭 斉志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.77-86, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
6 10

近年,音楽作曲の分野への対話型進化論的計算(IEC)の応用に関する研究は非常に発展してきている.この発展の背景には,人間の感性をコンピュータシステムに取り込むことは,コンピュータシステムの発展にとって必要不可欠という認識がある.しかしながら,IECを作曲に応用した従来のシステムは,実際の作曲家には積極的に使われてこなかった.この理由は,主にシステムを用いた作曲過程や扱うデータ形式が伝統的な作曲技法のそれとは大幅に異なるためである,と考えられる.そこで筆者らは,実際の作曲にIECシステムを活用することを目的として,新しい作曲支援システムを構築した.新しいシステムの主な特徴は,クラシック音楽の作曲家が馴染みやすい遺伝子表現や作曲過程である.また,実際にシステムを利用してピアノの小品を作曲し,その有効性を確認した.
著者
渡辺 晃生 安藤 大地 丹治 信 稲田 雅彦 伊庭 斉志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.5-10, 2009-02-11

昨今,コンピュータに歌を歌わせることのできる VOCALOID というアプリケーションが注目されている.このアプリケーションにおいてはメロディラインや歌詞だけでなく,歌声のパラメータ調整を行う事によって様々な表現が可能であるが,歌声パラメータの調整は知識のないユーザには非常に大きな負担となっていた.今回は対話型進化手法 (IEC) と呼ばれる GA の一手法を用いて,ユーザはコンピュータによって提示される歌声パラメータから好みの物を選ぶという比較的簡単な操作によってパラメータの最適化を行うシステムを実装した.またシステムの評価として手動で調整した歌声パラメータにどの程度のユーザの負担で近づけるかを調べるための実験を行った.VOCALOID is an application that realize singing by computer. VOCALOID enables users to create songs sung by computer only with inputting of melody and lyrics. However, for higher quality of song, complex optimization of voice quality parameters is required. For optimizing problems, genetic algorithm is commonly used. In this paper, we introduce a prototype of an application for optimizing parameters of singing voice easily by using Interactive Evolutionary Computation (IEC). which adopt perceptual evaluation of human for evaluation functions. Besides, to examine the number of times of evaluation by human, we made an experiment to recreate the parameter of some music.
著者
有山 大地 安藤 大地 串山 久美子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1729-1740, 2020-11-15

エレキギターの音作りは一般的にアナログのアンプ,エフェクタなどを用いて行われ,その組合せは膨大な数にのぼり,演奏者やエンジニアが求めている音色を得るために大きな労力を必要とする.たとえば,憧れのギタリストの音色を再現したいという場合,まず同一の機材の入手,加えてステージセッティングの画像などからエフェクタのつまみの位置を推測する必要があり,手動での再現のプロセスは困難なものである.そこで音色再現の問題を解決するため,ユーザが所持している1つのソフトウェアエフェクタのみを用いて,ユーザが目標とする音になるべく近い音作りができることを目標として,エフェクタの複数のパラメータを機械学習により探索する手法の開発を行った.本研究は現在までにギターエフェクトの1つである「歪み系エフェクト」を中心に,開発したシステムによって再現された音色について調査・実験を行い,再現度の評価において一定の成果を得た.また,本研究で開発した手法がエレキギター音色の再現において有効であることを確認した.
著者
安藤 大地
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3L4OS22b02, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,著者自身の一人称視点調査に基づくジャズの即興獲得過程の練習記録例を挙げ,音楽生成システムに音楽家の知識を取り込むことの有効性について議論する.ジャズの即興演奏における2-5-1和声進行とそのフレーズの練習時の認知についてのにものであり,音楽家は非常に明確に自身の練習中の認知を音楽的に明確に記録することができていた.そのような明確になっている音楽家の高レベルな認知を知識として機械学習システムに取り込むことは,創作において個性の演出に有効であること,学習の効率の点からも有用である可能性を示す.
著者
西 智菜美 安藤 大地 向井 智彦
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.581-582, 2020-02-20

花火などの観賞機会が少ないものに関しては、観賞できるスポットを事前調査したいという需要が大きい。そこで本研究では、ユーザーのニーズに応じて静かな場所、子供でも観賞できる場所など、複数の花火鑑賞スポットを自動提案するシステムを開発する。提案法では、まず、実在の町や地区を模した多くの建物を3次元仮想空間内に構築する。次に、レイトレーシング法を用いて、建物に遮蔽されない鑑賞候補地点を検出する。そして、それらの候補点に対して距離や騒音の有無などの情報を付加する。ユーザーはそうした情報を確認しつつ好みの地点を選択することで、花火の見え方を3次元空間内で擬似的に確認できる。
著者
松田 周 美山 千香士 安藤 大地
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.123, pp.41-46, 2002-12-22
参考文献数
17
被引用文献数
5

本稿では、Maxインターフェースを採用したリアルタイム映像処理・生成、OpenGLプログラミング環境、DIPS(Digital Image Processing with Sound)のMacOS X とLinuxへの移植について報告する。現バージョンのDIPSは、jMaxソフトウェアへのプラグインとして実装された、リアルタイム画像処理オブジェクト群である。移植版では、QuickTimeテクノロジ等を用いることにより、インターネット上の資源の利用が可能になるなど、大幅に機能が強化されている。In this paper, we would like to present the new Linux and Mac OS X versions of the DIPS(Digital Image Processing with Sound); the set of Max objects that handle the real-time visual image processing events and the OpenGL functions in the jMax environment. We will describe the significant modifications and improvement of the DIPS for Linux and Mac OS X. Furthermore we include that the DIPS for Mac OS X can be utilized as an internet tool by adapting the Apple QuickTime technology.
著者
安藤 大地
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1030-1040, 2012-03-15

近年,コンピュータを用いたクラブ系音楽のマルチメディアリアルタイムパフォーマンスがさかんである.本論文では対話型進化論的計算(Interactive EvolutionaryComputation)のシステムを用いてクラブ系ループ音楽をリアルタイムに生成,また世代の概念を用いないBreedingのメカニズムを用いて音楽時系列を構成するパフォーマンスを行うことができる手法を提案する.提案手法では遺伝子表現として遺伝的プログラミング(GeneticProgramming,GP)を採用しつつも,1つの個体から複数の表現型を実現する仕組みを備えており,対話型の個体数の少なさをカバーしつつ応用範囲が非常に広くなっている.提案手法を用いて,モバイルデバイスに溜め込んだ写真からクラブ系ループ音楽を生成するシステムのプロトタイプが実装されており,音楽的表現に応じて様々なリアルタイムマルチメディアパフォーマンスに利用することが可能であることが示された.Real-time music and multimedia performances with lap-top computers have been very animated in club scene in recent years. In this paper, I propose a new method to generate club style loop music in real-time for club performances by means of Interactive Evolutionary Computation (IEC). The methods includes two features. The one is that enjoying "Breeding" without consciousness about generation. The second is that multiple-ontogeny mechanism that generate several phenotype from one genotype, includes ideas of co-evolution and multi-objective optimization. The proposed method reduces weak points of IEC, user's burden of interactive evaluation and narrow search domain originated in handling few individuals. A performance system generates club style loop music from photo album in mobile devices has been implemented by means of the proposed method, then has been tested. The success of performances with the implemented performance system indicates that the proposed methods works effectively.
著者
安藤 大地
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1030-1040, 2012-03-15

近年,コンピュータを用いたクラブ系音楽のマルチメディアリアルタイムパフォーマンスがさかんである.本論文では対話型進化論的計算(Interactive EvolutionaryComputation)のシステムを用いてクラブ系ループ音楽をリアルタイムに生成,また世代の概念を用いないBreedingのメカニズムを用いて音楽時系列を構成するパフォーマンスを行うことができる手法を提案する.提案手法では遺伝子表現として遺伝的プログラミング(GeneticProgramming,GP)を採用しつつも,1つの個体から複数の表現型を実現する仕組みを備えており,対話型の個体数の少なさをカバーしつつ応用範囲が非常に広くなっている.提案手法を用いて,モバイルデバイスに溜め込んだ写真からクラブ系ループ音楽を生成するシステムのプロトタイプが実装されており,音楽的表現に応じて様々なリアルタイムマルチメディアパフォーマンスに利用することが可能であることが示された.