著者
中野 洋平 興津 真理子 ナカノ ヨウヘイ オキツ マリコ Nakano Yohei Okitsu Mariko
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.63-68, 2014-12-15

研究動向自己分化とは,関係性の中で個を維持し,個人の中で感情過程と知的過程の調和を保つ能力を指す。近年の研究では,自己分化と心理的適応,そして対人関係との関連が示唆されている。自己分化を促進させる方法として,多世代派家族療法とRelationship Enhancement が挙げられる。これらの介入で獲得が目指されている能力は,体験の観察と気づきという点において共通していると考えられる。さらに,これらの能力は,瞑想によって高められると考えられる。瞑想とは,心的過程を意図的に制御するために注意と気づきの訓練に焦点を当てた自己制御の訓練である。今後,自己分化が瞑想に及ぼす影響,自己分化と瞑想の関連性を検討していくことが望まれる。