著者
大澤 智子 Osawa Tomoko オオサワ トモコ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
雑誌
大阪大学教育学年報 (ISSN:13419595)
巻号頁・発行日
no.7, pp.143-154, 2002
被引用文献数
1

論文トラウマ体験を持つクライエントとのセラピーに従事する臨床家は、自身はそのような体験をしたことがないにも関わらず、クライエントと同じような外傷性のストレス反応を示すことが報告されている。このような現象は「二次受傷(Secondary Trauma)」または「こ二次的外傷性ストレス(Secondary Traumatic Stress)」と呼ばれ、その研究は1990年代ごろから主にアメリカで盛んになった。しかし、二次的外傷性ストレスおよび二次受傷は一握りの専門家にしか知られていない。それにはこの概念が発達過程であるため、多くの名称や関連概念が存在しており、理解に困難を覚えるところにも寄与していると思われる。そこで、この論文は、その中でも代表とされる「燃えつき(Burnout)」、「逆転移(Countertransference)」、「外傷性逆転移(Traumatic Countertransference)」、「代理受傷(Vivarious Traumatization)」、「共感的疲弊(Compassion Fatigue)」をとりあげ、それぞれの特徴を考察し、今後の課題を提示した。