著者
影井 昇 PURBA YUNITA 坂本 修
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.165-168, 1992
被引用文献数
5

本来は猿やその他の霊長類の腸管内に寄生する条虫, <I>Bertiella studeri</I> (AnoPlocephalidae) の北スマトラにおける人体感染の2症例を見出し, インドネシアにおける第11例目 (3歳, 女性) と第12例目 (成人男性) として報告した。<BR>共に詳細な病歴は不明であったが, 排出虫体の形態によって<I>B.studeri</I>と同定された。現在, 世界的には総計47例の本虫感染例報告のある中で, インドネシアにおける本虫感染例が, 極めて目立って多い事が解った。<BR>本虫の感染は自由生活性のダニ類の経口摂取にある所から, 人体への感染は偶然の機会に行われ, その感染予防の為には, 終宿主となる猿類を椰子の実取り等の労働に使用したり, ペットとして飼育する際に十分な注意を行う事が, 最も重要と考えられた。