著者
Paula Martínez Sirés
出版者
Confederación Académica Nipona, Española y Latinoamericana
雑誌
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌 (ISSN:13449109)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.31-45, 2021 (Released:2021-06-25)
参考文献数
37

本稿は、1890年代のいわゆる「女流文学」で代表的な作家の一人である清水紫琴(1869-1933)を紹介することを目的とする。活動家、エッセイスト、作家であった紫琴は、作品を通じて女性の権利を主張した。明治の文壇に言文一致が導入され始めた頃、女性作家に対する表現の制限を打破するため、紫琴は直接的かつ自然なスタイルで「こわれ指環」(1891)を執筆する。本稿では、『こわれ指輪』の初スペイン語翻訳を通じて、清水紫琴の信念やフェミニズム的な切り口を検証する。