著者
Quay Suzanne クェイ スーザン Quay Suzanne
雑誌
国際基督教大学学報. II-B, 社会科学ジャーナル = The Journal of Social Science
巻号頁・発行日
no.35, pp.77-91, 1997-01-31

香港に住む人々の多くが, 1997年7月1日の中国大陸返還という差し迫った状況を前にして不安を感じている。日々の生活水準の向上が政府の援助やサービスに依存している障害者にとっては特に,政治的状況は大きな関心事である。当論文は,香港における聴覚障害者の状況に特に焦点を当てた報告である。香港における聴覚障害者の社会は,その構成人数は少ないが,香港政府および政府と協力関係にある非政府組織やさまざまな協議会,また病院関係当局からの多岐にわたるサービスを享受している。新政府のもとでも香港の聴覚障害者の教育の機会や就業の機会は保持され,あるいは増やされていくのか。これは誰もが感じている疑問である。当論文では,インタピューやさまざまな印刷物を通して得た情報を用いて,聴覚障害者のための医学的,教育的,社会的サービスが既にどの程度達成されているかを立証し,今後の政治的状況が将来の発展にどのように関与してくるのかについて議論する。