著者
RIOGILANG Hendra 糸井 龍一 田口 幸洋
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.151-159, 2012

コタモバグ地熱地域の東西30 km,南北20 km において温泉水および関連した水の地化学調査を実施した。温泉水,河川水からなる31 試料を標高173 m から1438 m の間で採取し,化学成分および水の安定同位体比を測定した。同時に雨水を標高556 m から1500 m の間の5 地点で,2010 年3 月から6月にかけて採取した。ほとんどの温泉水は中性のHCO<sub>3</sub> 型および複合型であり,水の安定同位対比のグローバルな天水線上に分布し,天水起源であることを示唆している。しかし,酸性の水はこの天水線からずれている。Muayat 山の山頂付近の噴気地帯近傍で採取された試料(MUAH-16)はSO<sub>4</sub> タイプであり,蒸気加熱型であることを示唆している。酸性水試料が安定同位体の天水線からずれている原因は地表あるいは浅層での天水の蒸発と考えられる。中性でかつ本地域の天水線の&delta;<sup>18O</sup>からずれている試料LOBH-10 は本地域の周辺部に位置し,このずれは海生起源の岩石との反応が原因と考えられる。