著者
鴇田 洋行 ロバト エンリケ リマ 糸井 龍一 本山 達也
出版者
THE GEOTHERMAL RESEARCH SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.77-93, 2006

The mass flow rate of steam transported into a turbine for geothermal power plant is controlled by the discharge characteristics of production wells and their wellhead pressures, which are, in turn, influenced by not only reservoir properties, but also pressure loss occurred along pipelines during transportation. In order to calculate the pressure loss in the pipeline network a fluid-gathering pipeline simulator named TPGS (Two-Phase Gathering System), which treats the pipeline network, has been developed. In addition, a simulation method to individually couple a wellbore simulator and a fluid-gathering pipeline simulator to a reservoir simulator has been constructed to predict the generating power output. TOUGH2, MULFEWS, and TPGS are the reservoir, wellbore, and fluid-gathering pipelinesimulators, respectively, used for the coupled simulation. This method was applied to predict changes of power output of the Hatchobaru power plant, Japan, overtime. The simulation includes a total length of 4.7km pipeline networks. Predicted changes of power output gave good agreement with the actual power decline trend, meaning the successful coupling of three simulators. Furthermore, the decrease in wellhead pressures and discharge rates of some production wells due to reservoir cooling was predicted. On the other hand, both simulated pressures at wellheads of production wells and at interconnection pipelines were predicted to besmaller by 20% than the actual pressures. This shows that the pressure losses atpipelines calculated by TPGS are underestimated. It is concluded, therefore, that values of surface roughness of the pipelines and correction factors for calculating pressure losses at fittings of pipelines requires some modification to increase the accuracy for TPGS.
著者
ジャリリナスラバディ サイード 糸井 龍一 ヴァルディマルソン ポール 藤井 光 田中 俊昭
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.113-121, 2011-07-25
参考文献数
19

サバラン地熱地域はイラン国の東北部に位置し,現在開発が進められている。建設予定のシングルフラッシュ型発電所の分離熱水が有するエネルギーとエクセルギーは生産流体の全エネルギーおよび全エクセルギーのそれぞれ54.8%,41.4%を占める。分離熱水は複合発電および地域熱利用システムに利用することができる。この分離熱水活用のためにシングルフラッシュ型発電所と併せた複合発電システムとしてバイナリー発電を採用した場合のフィージビリティスタディをおこなった。その結果バイナリー発電所の出力として17,151kWが得られた。エネルギーおよびエクセルギーに関する数学モデルを構築し,それをソフトウェアEngineering Equation Solverを用いて解析を行った。その結果,凝縮器と蒸発器において最大のエクセルギー損失が発生し,エクセルギー全損失に占める割合はそれぞれ12.1%,33.4%である。バイナリー発電所のエネルギー効率およびエクセルギー効率は,それぞれ6.25%および34.4%である。さらに,グラスマン図を用いてバイナリー発電所内におけるエクセルギーの全体的な流れを示した。これらの結果より,エクセルギー解析を行うことは生産されたエネルギーを地熱発電所にて最適に利用するうえで有用であることを明らかにした。
著者
RIOGILANG Hendra 糸井 龍一 田口 幸洋
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.151-159, 2012

コタモバグ地熱地域の東西30 km,南北20 km において温泉水および関連した水の地化学調査を実施した。温泉水,河川水からなる31 試料を標高173 m から1438 m の間で採取し,化学成分および水の安定同位体比を測定した。同時に雨水を標高556 m から1500 m の間の5 地点で,2010 年3 月から6月にかけて採取した。ほとんどの温泉水は中性のHCO<sub>3</sub> 型および複合型であり,水の安定同位対比のグローバルな天水線上に分布し,天水起源であることを示唆している。しかし,酸性の水はこの天水線からずれている。Muayat 山の山頂付近の噴気地帯近傍で採取された試料(MUAH-16)はSO<sub>4</sub> タイプであり,蒸気加熱型であることを示唆している。酸性水試料が安定同位体の天水線からずれている原因は地表あるいは浅層での天水の蒸発と考えられる。中性でかつ本地域の天水線の&delta;<sup>18O</sup>からずれている試料LOBH-10 は本地域の周辺部に位置し,このずれは海生起源の岩石との反応が原因と考えられる。
著者
江原 幸雄 糸井 龍一 藤光 康宏 今井 亮 西島 潤 UDI Harmoko AGUS Setyawan 蘭 幸太郎 永瀬 大祐 WAHYUDI
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシア・ジャワ島中央部にある、火山弧に直交する方向に直線的に並ぶ3つの火山、メラピ火山、メルバブ火山およびウンガラン火山において、地球物理学的、地球化学的、および地質学的調査を行い、活動年代、地下構造を解明するとともに、火山体内に発達する熱水系(熱と水の流れのシステム)をコンピュータを使って定量的に解明した。さらに、熱水系が十分発達しているウンガラン火山に関しては、地熱資源量評価を行い、地熱発電(電気出力 : 2~40MW)が可能な資源量が存在していることを明らかにした。
著者
渡邊 公一郎 今井 亮 横山 拓史 板谷 徹丸 三谷 泰浩 小林 哲夫 本村 慶信 セティジャジ ルーカスドニィ 高橋 亮平 米津 幸太郎 糸井 龍一 池見 洋明 実松 建造 HARIJOKO Agung SHERSTEN Anders IDRUS Arifudin WARMADA I Wayan DUNCAN Robert A.
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インドネシア及びフィリピンの金・銅鉱徴地と地熱資源、タイ及びマレーシアの含REE花崗岩風化殼、フィリピンの斑岩銅鉱床および浅熱水性金鉱床についての地質調査を行い、鉱床生成条件の解析に基づく資源量と開発可能性の評価を行った。また、地質試料と室内実験データについて、地理情報システムとデジタルデータベースを併用した統合管理システムを構築した。