著者
福元 伸也 Rehman Anis Ur 森東 淳 大塚 作一 三部 靖夫 田中 宏征 武田 光平 野村 雄司
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.842-850, 2011-09-25
参考文献数
18

広告の意匠性と2次元デジタルコード(以下,コードと略す)を用いた情報伝達の容易性とを両立させることを目的として,コード撮影のために行う利用者の接近行動を距離センサにより検出することにより,コードを適応的に拡大表示する手法を提案する.まず,基礎実験として,実験1では,コードの拡大率とズーム時間の変化に対する利用者の印象変化を調査した.その結果,利用者が移動中の状態から一辺20cm程度の取得容易なコードサイズにズームアップした状態で停止する場合を想定すると,ズーム時間を1秒前後に設定すればよいことが明らかとなった.次に,実験2では,距離センサによるフィードバックを行ったプロトタイプを使用し,QRコード利用の未経験者4名を含む被験者14名による評価実験を行った.従来手法と提案手法との比較を行った結果,(1) 提案手法では平均情報取得時間が約1.8秒短縮される,(2) 提案手法では約1.5倍遠い位置での取得が可能となる,(3) 全被験者の86%(QRコード利用の経験者では100%)が提案手法を好む,という結果が得られ,本手法の有効性が確認された.