著者
柏木 理佳 カシワギ リカ Rika Kashiwagi
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-16, 2008-12-19

わが国において少子高齢化にともない労働力不足が懸念される中、女性の労働力が注目されている。しかしながら近年の雇用の格差による環境の悪化は、より女性に多くのしわ寄せがきている。女性における労働市場において学歴インフレによる需要と供給のミスマッチが問題視され、世界から指摘されている。若い時期にだけ働いてくれればいいといった日本企業による女性の雇用方法が根強く残っている。中国企業では採用する際に女性の年齢や外見だけにとらわれることは少なく、同じ仏教を信仰する文化を持つ国でありながら日本とは違う欧米型の女性の雇用形態となっている。しかし中国においても企業や国の取り組みは、一概に日本より恵まれている環境にあるとはいえない。特に女性特有の職業においては必ずしも中国企業の採用方法が日本企業と大きく違うとは言い切れない。日中の差は、個人のキャリアアップへの意識において中国人女性の方が強いといえる。個人のリカレント教育やキャリア教育においてはいずれも十分とはいえないが、少なくとも職業意識においては大学生の段階からすでに構築している人の割合が中国人女性の方が多い。日中の比較を通して個人における女性のリカレント教育を分析し若干の示唆をする。