著者
竹内 理樺 Rika Takeuchi
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.359-389, 2013-03-10

何香凝の芸術活動は一般にその政治活動と密接に結びつけて論じられる。しかし、1920年代末から40年代半ばまで、彼女は政治とは一線を画し、「一国民」として絵画の「義売」(慈善販売会)や兵士の救護活動を行い、画家の立場を立脚点として独自の抗日救国活動を行っていた。その活動は孫文と夫廖仲愷の遺志を継承する政治的理念に基づいたものであったため、多くの人々の支持を集め、結果的に彼女の名声と人望を高め、彼女を政治の第一線に復帰させることとなった。