著者
矢吹 省司 菊地 臣一 丹治 一 Robert R. Myers
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.41-46, 2001-01-25

抄録:脊髄後根神経節(以下,DRGと略す)は,一次性知覚神経細胞を有し,腰痛や根性坐骨神経痛の発現に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究の目的は,椎間板ヘルニア・モデルにおけるDRGの内圧の変化と臨床での椎間板ヘルニアにおけるMRミエロでのDRGの変化を検討することにより,DRGでのコンパートメント症候群の発生を証明することである.実験的検討から,神経根上への髄核設置はDRGの内圧を上昇させることやDRG内に浮腫が惹起されることが判明した.また,臨床的検討からは,責任神経根のDRGは反対側や対照群に比して有意に高輝度を呈し,腫大していることが明らかとなった.以上の結果から、腰椎椎間板ヘルニアにおいては,責任神経根のDRGには浮腫に伴ってコンパートメント症候群が惹起されることが証明された.