著者
楠瀬 賢也 Robert Zheng 山田 博胤 佐田 政隆
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
pp.JJMU.R.226, (Released:2023-07-04)
参考文献数
35

循環器画像診断は日々進歩しているが,左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)は現在でも日常の診療における収縮機能の指標として最も重要である.LVEFは複数の分野(心臓弁膜症,心筋梗塞,がん治療に伴う心機能障害など)におけるガイドラインで中心的な位置を占めており,心不全患者における臨床的な方針決定にも不可欠である.しかし,LVEFの注目すべき限界として,不明瞭な音響窓や測定法のばらつきなどによる検査者間の再現性の低さが挙げられる.この問題を解決するために,検査者間で基準画像を共有することでLVEFの計測を標準化する方法や,人の手によらない計測を行うための人工知能が開発されてきた.本総説では,基準画像を用いたLVEFの標準化と,人工知能を用いたLVEF測定の自動化に焦点を当てる.