著者
作田 佳奈美 湯浅 哲也 加藤 靖佳 SAKUTA Kanami YUASA Tetsuya KATO Yasuyoshi
出版者
Special Needs Edudcation Research Center, University of Tsukuba
雑誌
筑波大学特別支援教育研究 = THE JAPANESE JOURNAL OF SPECIAL NEEDS EDUCATION RESEARCH (ISSN:1883924X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.83-94, 2018-03

聴覚特別支援学校小学部の音楽科の授業では,音楽の諸能力を伸ばすとともに,音楽を愛好する気持ちや楽しむ気持ちを育むためにさまざまな実践が行われている。聴覚特別支援学校に在籍している多くの聴覚障害児は聴覚活用に制約があることから,音楽科の指導の難しさが課題とされている。そこで,本研究では,聴覚特別支援学校小学部の音楽科担当教員を対象に,質問紙調査を通して音楽科の授業の工夫や取り組みについて検討した。その結果,音楽科の授業を行うにあたっての注意点や考慮すべき点として,「音楽は楽しいという気持ちを育てる」といった回答が最も多く見られた。また,個々の児童の聴こえへの配慮とともに,(1) 音楽を理解するために歌詞表示など視覚的な情報や補助教材の確保,(2) 歌唱における自由な発声表現や個々の聴こえや嗜好に合わせた器楽や楽曲の選定,が聴覚障害児にとって音楽科の授業を楽しむための留意点であることが示唆された。