著者
矢野 大仁 SAWADA Motoshi SHINODA Jun FUNAKOSHI Takashi
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.450-453, 1995-07-15
被引用文献数
15 26

症例は27歳男性。突然の激しい頭痛にて発症した。来院時、昏迷状態で軽度の頭痛と右不全麻痺を認めた。CTにてくも膜下出血と左前頭葉に脳内血腫を認めた。左内頚動脈写にてA4に紡錘状の拡張を認め、解離性動脈瘤と診断した。第3病日、動脈瘤の切除術を施行した。動脈瘤は硬くひょうたん型を呈していた。末梢領域に対する血行再建術は行っていない。病理にて中膜-外膜間で解離した解離性動脈瘤と判明したが、原因は不明であった。術後も軽度の右不全身麻痺などを認めたが、次第に改善し、術後約40日で独歩退院した。前大脳動脈に限局した解離性脳動脈瘤の報告は稀で、特に治療方針につき文献的考察を加え報告した。