著者
岡 秀宏 SCHEITHAUER Bernd W.
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.510-518, 1999-07-15
被引用文献数
9 54

我々は、Medulloblastoma-PNETやgerm cell tumorと鑑別を要する新しい小児中枢神経系腫瘍であるAtypical Teratoid/Rhabdoid Tumor (AT/RT)の臨床病理学的特徴を検討した。AT/RTは組織学的にしばしばrhabdoid, PNET,上皮性あるいは間素系成分等の多様な組織像を示す悪性腫瘍であるため、主にPNET成分で構成されたAT/RTが後頭蓋窩に発生した場合はmedulloblastomaと、大脳半球に発生した場合はPNETと診断が困難な場合がある。一方、組織学的に上皮性あるいは間素系成分を含むgerm cell tumorとの鑑別も重要である。AT/RTの予後はmedulloblastoma-PNETやgerm cell tumorの予後より不良であるため、これらの小児中枢神経系腫瘍からAT/RTを鑑別することは重要と考え報告した。