- 著者
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森田 修二
SHUJI MORITA
- 出版者
- 西京大学農学部
- 雑誌
- 西京大学学術報告 農学 (ISSN:03709329)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.26-33, 1956-09
種々の粘土鉱物に石英砂を混合してカチオン置換容量を一定とし添加養分量も等量として, 之等に水稲を栽培し養分の吸収を研究した。吸収された全窒素量はベントナイト区の植物に於て最高で, カオリナイト区の植物に於て最低であつた。吸収された全燐量はベントナイト区に於て最高, カオリナイト区に於て最低であつた。しかし此の差は粘土鉱物石英砂混合物のアニオン置換容量から予想されるよりも遥かに小であつた。初期に於て追肥として加へた燐は水稲によつて多量に吸収された。カオリナイト区の植物によつて吸収された全加里量はベントナイト区, イライト区の植物による吸収量よりも遥かに大であつた。此の吸収量の相違は粘土鉱物の結晶格子の構造の差異に基くのであろう。水稲による石灰, 苦土の吸収は生長と共に増加した。生育初期に於ては吸収された石灰の量は苦土の量よりも小であつたが, 生育の後期では吸収された石灰量は苦土量よりも大であつた。