著者
平本 哲嗣 Satoshi Hiramoto
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.47, pp.119-128, 2019-02-28

2017年3月に告示された新しい小学校学習指導要領では中学年で「外国語活動」、高学年で「外国語」が設定されることとなった。現在のような状態に至るまでには長い経緯があるが、戦後の政策動向において、特に注目すべきは1986年の臨教審第二次答申といえよう。本論では、この答申にいたるまでの1960年代から1970年代に的を絞り、当時の英語教育関連の雑誌や新聞記事から、関係者の活動や言説に関する情報を得ることを目的とする。特に本論では英語教師だけではなく、英語教育に対して発言力のある団体(海外の視察団や財界)の言説も扱うことで、英語教育政策過程におけるアクター群の役割を明らかにするとともに、早期英語教育に関する言説が時代とともにどのように変化したのかを議論する。なお、本論では小学校英語教育に加え、就学前教育における英語教育も扱うため、「早期英語教育」を主たる表記として用いる。