著者
林鎭代/中西一彦/濱田格子 ShizuyoHAYASHI /KazuhikoNAKANISHI /SadakoHAMADA
雑誌
教育総合研究叢書
巻号頁・発行日
vol.4, pp.97-118, 2011-03-31

本研究は、国際化社会に生きる子どもの育成における絵本活用の可能性を明らかにすることを目的に、基礎研究として日本、韓国、台湾の絵本の内容の比較を行った。取り上げた絵本は、日本語訳されている韓国と台湾の絵本、および日本の絵本のうち韓国または台湾で翻訳されているもの、各20冊前後である。日本の絵本は国際的に評価が高く、韓国、台湾、中国で多く翻訳されている。物語絵本のほか、生活絵本、科学絵本も多い。韓国の絵本は、儒教的な意識や教育的な意図が感じられるものが多い。台湾の絵本の日本語訳は多くはないが、様々なタイプの絵本が作られる自由さが感じられる。各国の差異から、絵本には、その国の子どもに託した希望が凝縮されていることが明らかとなった。今後の課題として、韓国の絵本に見られる規範性、台湾の絵本に見られる心の自由さが、どのように実際の場面で活用されているのか調査し、日本における絵本活用で、取り入れたい点や改良すべき点について研究していくことが望まれる。