著者
吉田 武大
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-12, 2011-03-31

本稿では,アメリカにおけるバリュールーブリックの動向を紹介することを目的としている。目的の解明にあたり,AAC&Uのウェブサイトとバリュープロジェクトの関係スタッフの論考等を引用しながら,バリュールーブリック開発の背景,バリュープロジェクトとバリュールーブリックの概要を取り上げた。その結果,次の3点が明らかとなった。第1に,CLAやMAPPのような標準化されたテストでは学生の多面的な学習成果の評価が困難であることを受け,バリュールーブリックが開発された。第2に,バリュープロジェクトでは,多くの高等教育機関からの協力を得て,バリュールーブリックの開発が進められた。また,同プロジェクトは,学生の学習成果を評価する際に,eポートフォリオの活用を推奨している。第3に,バリュールーブリックは15種類作成されており,活用に際しては個々の機関・プログラム・授業の文脈に即して表現を書き換えることが求められている。
著者
林鎭代/中西一彦/濱田格子 ShizuyoHAYASHI /KazuhikoNAKANISHI /SadakoHAMADA
雑誌
教育総合研究叢書
巻号頁・発行日
vol.4, pp.97-118, 2011-03-31

本研究は、国際化社会に生きる子どもの育成における絵本活用の可能性を明らかにすることを目的に、基礎研究として日本、韓国、台湾の絵本の内容の比較を行った。取り上げた絵本は、日本語訳されている韓国と台湾の絵本、および日本の絵本のうち韓国または台湾で翻訳されているもの、各20冊前後である。日本の絵本は国際的に評価が高く、韓国、台湾、中国で多く翻訳されている。物語絵本のほか、生活絵本、科学絵本も多い。韓国の絵本は、儒教的な意識や教育的な意図が感じられるものが多い。台湾の絵本の日本語訳は多くはないが、様々なタイプの絵本が作られる自由さが感じられる。各国の差異から、絵本には、その国の子どもに託した希望が凝縮されていることが明らかとなった。今後の課題として、韓国の絵本に見られる規範性、台湾の絵本に見られる心の自由さが、どのように実際の場面で活用されているのか調査し、日本における絵本活用で、取り入れたい点や改良すべき点について研究していくことが望まれる。
著者
林 鎭代
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.5, pp.69-88, 2012-03

昔話に登場する"鬼は",「一本または二本の角を頭に生やし」「大きな体は赤や青や黒の色をしている」「毛深く力は強い」などと表現され,男性としてイメージされる場合が多い。"鬼"は,山奥に住まい,村に来ては食べ物や財産,娘をさらっていく悪しき存在であり,話の結末では人間に退治されることとなっている。「読みがたり」47巻は,2004年から2005年にかけて誕生した。それらは,以前から地方にあった昔話を,子どもへの教育的活用を意図として再編集されたものである。「読みがたり」には,わずかではあるが女性の"鬼"も登場している。そして,人間に退治されない結末の話も収録されている。女性の"鬼"は,老女とされているが,男性の"鬼"については年齢を示す表現はない。"鬼"の性別と話の結末には,関連はあるのか。"鬼"の性別によって,子どもに伝えたい内容は異なってくるのか。「読みがたり」から,"鬼"の性別による影響を探った。
著者
吉田 武大 Takehiro YOSHIDA
雑誌
教育総合研究叢書
巻号頁・発行日
vol.5, pp.103-111, 2012-03-31

本稿では,アメリカにおけるバリュールーブリックの活用動向について,実践事例の紹介を通じて明らかにすることを目的としている。検討の結果,次の5点が明らかとなった。第1に,評価規準を作成する際に,客観的な表現を使用したということである。第2に,評価の観点で示された能力を身につけていない評価基準としてレベル0を設定したことである。第3に,学士課程教育段階の学生に通常想定される能力を超えるような評価規準を設定しないということである。第4に,個々の授業のねらい等に応じて評価の観点の一部を見直したということである。そして第5に,これらの4点を踏まえ,授業で使用する学習教材それぞれについて,事前に評価の観点を細かく設定することで,書き換えたバリュールーブリックを活用する意義がより明確になるということである。
著者
吉田 武大 Takehiro YOSHIDA
雑誌
教育総合研究叢書
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2013/01/120:00:00, 2011-03-31

本稿では,アメリカにおけるバリュールーブリックの動向を紹介することを目的としている。目的の解明にあたり,AAC&Uのウェブサイトとバリュープロジェクトの関係スタッフの論考等を引用しながら,バリュールーブリック開発の背景,バリュープロジェクトとバリュールーブリックの概要を取り上げた。その結果,次の3点が明らかとなった。第1に,CLAやMAPPのような標準化されたテストでは学生の多面的な学習成果の評価が困難であることを受け,バリュールーブリックが開発された。第2に,バリュープロジェクトでは,多くの高等教育機関からの協力を得て,バリュールーブリックの開発が進められた。また,同プロジェクトは,学生の学習成果を評価する際に,eポートフォリオの活用を推奨している。第3に,バリュールーブリックは15種類作成されており,活用に際しては個々の機関・プログラム・授業の文脈に即して表現を書き換えることが求められている。
著者
吉田 武大
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.5, pp.103-111, 2012-03

本稿では,アメリカにおけるバリュールーブリックの活用動向について,実践事例の紹介を通じて明らかにすることを目的としている。検討の結果,次の5点が明らかとなった。第1に,評価規準を作成する際に,客観的な表現を使用したということである。第2に,評価の観点で示された能力を身につけていない評価基準としてレベル0を設定したことである。第3に,学士課程教育段階の学生に通常想定される能力を超えるような評価規準を設定しないということである。第4に,個々の授業のねらい等に応じて評価の観点の一部を見直したということである。そして第5に,これらの4点を踏まえ,授業で使用する学習教材それぞれについて,事前に評価の観点を細かく設定することで,書き換えたバリュールーブリックを活用する意義がより明確になるということである。
著者
林 鎭代 中西 一彦 濱田 格子
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.4, pp.97-118, 2011-03

本研究は、国際化社会に生きる子どもの育成における絵本活用の可能性を明らかにすることを目的に、基礎研究として日本、韓国、台湾の絵本の内容の比較を行った。取り上げた絵本は、日本語訳されている韓国と台湾の絵本、および日本の絵本のうち韓国または台湾で翻訳されているもの、各20冊前後である。日本の絵本は国際的に評価が高く、韓国、台湾、中国で多く翻訳されている。物語絵本のほか、生活絵本、科学絵本も多い。韓国の絵本は、儒教的な意識や教育的な意図が感じられるものが多い。台湾の絵本の日本語訳は多くはないが、様々なタイプの絵本が作られる自由さが感じられる。各国の差異から、絵本には、その国の子どもに託した希望が凝縮されていることが明らかとなった。今後の課題として、韓国の絵本に見られる規範性、台湾の絵本に見られる心の自由さが、どのように実際の場面で活用されているのか調査し、日本における絵本活用で、取り入れたい点や改良すべき点について研究していくことが望まれる。
著者
進藤 正洋 尊鉢 隆史 田上 由雄
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-15, 2010-03
被引用文献数
1

京都府,大阪府,兵庫県および京都市,大阪市,神戸市の各教育委員会が求めている「教員の資質能力」は,文部科学省が示すそれをもとに,それぞれの地域特性を反映して策定されている。また,教員の資質能力を高めるための現職職修の実施だけではなく,よりよい人材の確保のために,各教育委員会が独自の教員養成施策を積極的に実施しているところもある。教育学部教育福祉学科こども学専攻教員チームは,昨年度から初等教育に携わる教員に求められる資質能力を明らかにするため,地域の幼稚園と小学校において,教員,保護者,校区住民を対象にして,ステークホルダーが求める初等教育教師の資質能力の調査を進めてきた。本稿は,さらに,教員採用を行っている関西3府県と政令指定都市の6教育委員会について,文部科学省が示している教員の資質能力を基軸に,各教育委員会が求める教師像を調査研究し,地域の教育行政が求める教員の資質能力を総合的に明らかにすることにより,地域の教育課題の解決と本学の初等教育教員養成カリキュラムや指導方法の改善に資するものである。
著者
佐藤 広志
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.6, pp.71-85, 2013-03

キャリア教育が国策として強調され、正規のカリキュラムに組み込まれると同時に、キャリア認識に関する隠れたカリキュラムが生み出される。小学校から高等教育のレベルまでキャリアの定義は結構広い。初め、小学校レベルでは個人の人生全体として定義されるが、しだいに職業選択へと絞り込まれていく。キャリア教育プロセスの末端としての大学生への就職支援においては、ジョブ・マッチングの問題の社会的側面は無視されがちで、社会的現実への個人としての適応の努力が強調されがちである。学生に伝えられる隠れたカリキュラムとしてのメッセージとは、就職市場も含めて社会の仕組みは変えられないのであり、キャリア決定の責任はもっぱら学生側にあり、就職市場の問題は若者が現行の社会システムに適応できるかどうかにかかっているというものになる。Career education was emphasized as a national policy and included into formal curriculum, and at the same time, it generates hidden curriculum of career perception. From primary to higher education level, definition of career has wider range. At first, career is defined as a total personal life in the elementary-school level, and gradually focused on narrower targets as job-selection. Career guidance and support for college students, as a terminal of career education process, tend to neglect the social aspects of job-matching problem, to emphasize their personal efforts to adapt to social reality. Some messages as hidden curriculum reached students are that a side of social system included job-market is unchangeable, responsibilities of career determination only belong to students' side, and the problem of job market is focused on young people's adaptation to the present social system.
著者
山下 泰生/陳 那森/窪田 八洲洋 陳 那森 窪田 八洲洋
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-32, 2012-03-31

本研究の目的は、大学学士課程教育で必要とされる情報リテラシーに関しての実証的研究を進め、標準的な評価基準としてのモデルルーブリックを開発することにある。本年度は、3年計画の最初の第1フェーズにあたる段階であった。入学時の情報リテラシーに対するオンライン調査を実施し、情報社会の動向を検証するために、テキストマイニングによるキーワード分析結果をもとにして、情報化の状況調査をおこなった。それらの結果を参考にして、オンライン調査の設問を追加し、試行を行った。本報告書で、本年度に行ってきた実施経過を報告し、第2フェーズ以降への課題を明確にしていく。1
著者
佐々木 緑
出版者
関西国際大学
雑誌
教育総合研究叢書 (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.3, pp.97-107, 2010-03

自律学習の重要性が唱えられ中,多くの大学で学生を自律学習者へと導く試みが行われている。学習法や学習計画の立案と見直しの重要性を解く講座や演習であったり,学生が自主的に利用できる学習施設などの提供である場合が多い。しかしながら,十分な学力および学習習慣が身についておらず,かつ自律学習指導を受けていないような学生が入学してくる大学の現状では,個々のプログラムを散発的に提供するだけでは,真の意味での自律学習者を養成することは難しい。複数のプログラムや取り組みを体系的に組み立てる必要があり,また,学習者が互いに学び合いながら,学習に対する動機付けや学習動機が継続的に強化されるような環境作りも必要である。本稿は,関西国際大学教育学部英語教育学科における自律学習促進の取り組みとその効果について報告し,体系的な自律学習支援のモデルを提供することを目的としている。