著者
Medel Manuel L Zulueta Shu-Yi Lin Shang-Cheng Hung
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.25, no.144, pp.141-158, 2013 (Released:2013-07-25)
参考文献数
79
被引用文献数
7 13

ヘパリンおよびヘパラン硫酸 (HS) は、複雑な骨格を持つ多糖であり、多くのタンパク質の活性を媒介・調節している。それらのタンパク質は、多様な硫酸化パターンで修飾された繰返し2糖骨格を持つ糖鎖と相互作用する。相互作用に関する分子レベルの詳細な知見は、新しい形態の診断薬や治療薬の開発に役立つと期待される。ヘパリンおよびHS骨格オリゴ糖の化学合成は、構造活性相関研究のための構造が明確な試料の入手を容易とするため、非常に重要である。しかしながら、化学合成においてもいくつかの課題に直面することが多い。いくつかの課題とは、例えば、希少なL-イドース/L-イズロン酸誘導体の入手、グルコサミンのグリコシル化反応におけるα-立体選択性、糖鎖の伸長法、位置選択的な硫酸基の導入を含む保護基の選択とその取り扱い、天然のヘパリンおよびHS鎖に相当する充分な多様性を持った化合物群の効率的な調製である。本総説は上記の課題に取り組んだ私達の成果に焦点をおきながら、これまで研究されてきた解決策を簡潔にまとめる。さらに、合成した糖鎖を用いた生物学的アッセイの結果についても簡単に述べる。