著者
水野 卓 井出 範男 Sunee Sirivichayakul Praphan Phanuphak Kiat Ruxrunghh Mena Chueyam Sasiwimol Ubolym Supranee Buranapraditkum Somsong Teeratakulpisarn
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本応用きのこ学会誌 (ISSN:13453424)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.55-64, 1998-07-31 (Released:2018-04-12)
参考文献数
16

タイ国のHIV-患者10名に対して,"微粉末霊芝"(日本産)の投与臨床試験を6ヶ月間実施した.その結果,本試験の現段階では,HIV-患者に対する霊芝の明確な有効性や効果は認められなかった.しかし,この治験に協力された10名の患者は全員存命であり,霊芝による顕著な有効性は認められなかった反面,現在(1996年12月),患者の病状に進展は認められていない.それ故に,今後は,霊芝から単離したテルペノイド類や免疫活性を示すβ-グルカンなどの多糖類などの活性成分についての臨床試験が望まれる.霊芝の熱水抽出エキスには,in vitoroでの免疫調節効果が認められ,軽度の免疫不全患者に対して免疫機能修復を示した.この効果は,T細胞表現型の変化またはT細胞機能の賦活によって達成されたものと思われた.ガンやHIVに感染した患者のような免疫寛容の起きた個人に対しては霊芝から分離された有効成分について試験すべきことを示すものと思われた.