著者
齋藤 さくら 田中 京子 SAITO Sakura TANAKA Kyoko
出版者
名古屋大学留学生センター
雑誌
名古屋大学留学生センター紀要 (ISSN:13486616)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-42, 2006-10-16 (Released:2011-08-11)

本稿は,メキシコに1977年に設立された国際学校「日 本メキシコ学院」で行なわれている二文化教育が生徒たちに与えた影響について,在籍時の生徒たちの作文等,および修了後10年以上経た生徒たちへの質問紙調査を通して,縦断的に調査し考察した調査報告である。 調査の結果,二文化教育は在籍当時だけでなく,10年以上を経た現在まで影響しており,特にお互いの文化の長所とされる特徴を体得したと感じられている。日本人生徒たちにとっては,自由や平等,主体性,メキシコ人生徒たちにとっては,根気や礼儀,規律等である。同時に多角的視点から世界を見られる国際性を持った人間が育ちつつあると考えられる。効果的な言語教育についてなど,理想と現実の中で接点を見つけるべき課題も多くあり,今後国際学校の発展のために関係者の力を結集する必要がある。