- 著者
-
TANSURIYAVONG Suriyon
- 出版者
- 長岡技術科学大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は、双方向映像通信を利用したコミュニケーションにおいて,効果的に状況映像を伝えつつ,かつプライバシの保護手法を確立することを目的としている.具体的には,(1)状況映像の中から個々の人物像を実時間で自動的に抽出・認識・追跡する手法を確立し,(2)個々の人物像の細部を加工し隠蔽表示が可能とする制御機能を実現し,(3)プライバシ保護機能を組み込んだ双方向映像通信システムを構築して運用実験を行い,システムの有効性を確認することである.研究実績:(1)動画像処理装置IMPA-VISINを利用した人物像の実時間抽出手法の確立背景差分法と移動方向コードを組合せてビデオ映像から人物像を実時間で自動的に抽出する手法を確立した.(2)IDバッジを利用した人物の認識実験名札サイズの紙に印刷してIDバッジを作成し,認識用のビットパターンを決めて,画素の輝度の差を利用してビットパターンをIDバッジの背景から抽出し,ラベリング処理を行って,ビットパターンのコードを認識する実験システムを構築した.(3)人物の顔画像を利用した人物の認識実験多重解像度モザイク化処理を利用し,正面顔から12×12,合計144次元の顔部品特徴ベクトルを求め,それらから顔辞書を作成した.入力映像から実時間で自動的に正面顔を抽出し,モザイク化処理を施して顔辞書と照合し,人物を認識するシステムを構築した.(4)同一人物の追跡と人物隠蔽実験上記の(1)の抽出結果を利用して,人物像のラベリング処理をし,フレーム間での変化を追いつつ,同一人物を追跡しながら隠蔽表示できるシステムを構築した.隠蔽表示方法としては,シルエット表示,名前付きシルエット表示,名札シルエット表示及び透明人間表示を用いた.上記の(2)又は(3)と組み合わせて,識別した人物の名前と各隠蔽表示方法で,状況映像における人物のプライバシ保護手法を開発した.さらに,運用実験を行いシステムの有効性を確認した.(5)2000年9月13日に長岡技術科学大学で開催された電子情報通信学会オフィスシステム研究会で研究成果を発表した.(6)2001年11月16日にOrlando Florida, USAで開催されたWorkshop on Perceptive User Interfaces(PUI'01)にて研究成果を発表した.