著者
本間 七瀬 武田 喜乃恵 浦崎 武 Honma Nanase Takeda Kinoe Urasaki Takeshi
出版者
琉球大学教育学部附属発達支援教育実践センター
雑誌
琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 (ISSN:18849407)
巻号頁・発行日
no.6, pp.103-117, 2014

自閉症児者は,独自の世界観や感じ方をもつことにより、他者と気持ちや感情がずれる経験をもちやすいとされる(別府2009)。学童期において小学校の入学と共に集団行動の要素が強くなる中で、'他者とつながる'感覚や'豊かな感情を実感できる体験'を他者との関係性の中で積み重ね自尊心を育んでいきたい。今回は、通級指導とトータル支援の2つの場で支援者として関わった実践から1事例を取り上げ、対象児と他者との情動の共有体験に焦点を当て、対象児の心が動いたと思われるエピソードを抽出し、対象児の小学校1年生から2年生9カ月までの変容を振り返った。'共に楽しむ'という快の情動共有経験を積み重ねることが自他理解や自己調整を促し、主体的に他者に開かれていく力を育むことが示唆された。