著者
田中 寛二 Tanaka Kanji
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.10, pp.71-95, 2002-09

本研究では,大学生の大学構内と公道における交通行動を規定する要因を明らかにするために,大学生281人を対象とした信号無視,駐車違反,スピード違反,飲酒運転,及び危険運転の目撃,許容,行動に関する調査を行った。その結果から以下のことが明らかにされた。①各種の違反行為に対する許容と行動の各得点は低く,許容的でも,頻繁に行動するものでもないことが示された。②大学構内では各種の違反に対する許容性が公道よりも高いが,駐車違反と飲酒運転では公道にいて,信号無視とスピード違反については大学構内の方が高いことが示めされ,違反の内容によって行われやすい状況に差があることが示唆された。③行動と関連する要因として,大学構内では,概して目撃と許容が関連しているが,公道では必ずしもそのような一貫した傾向は認められなかった。すなわち,大学構内では目撃によって各種の違反行為が比較的直接的に誘発される可能性が高いことが示唆された。