著者
盛田 帝子 Teiko MORITA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.61-117, 2018-07-31

本稿は「光格天皇主催御会和歌年表―天明期編」(『大手前大学論集』第17号)の続編として、寛政期に光格天皇が主催した内裏の御会および光格天皇の詠草を年表形式で提示したものである。底本には、光格天皇歌壇の一員、もしくはその周辺人物でなくては知りえない情報が注記されている国立国会図書館所蔵『内裏和歌御会』(請求記号:124-202)を用いた。寛政期は、光格天皇の歌人としての面に光をあてれば、後桜町院上皇から御所伝受を相伝され、歌道宗匠として門人への添削を開始、門人に御所伝受の相伝を始めた時期であり、天明の大火のため仮御所としていた聖護院宮から新造御所への遷幸、幕府との関係では父の閑院宮典仁親王に太上天皇号をおくろうとした尊号一件、父典仁親王の薨去、後桃園天皇の第一皇女で唯一の御子であった欣子内親王との婚儀、儲君となった皇子温仁親王の誕生と薨去など様々な出来事が目まぐるしく起こった時期でもある。『光格天皇実録』(ゆまに書房、2006年)等から出典を示して事項を引用し、それらの事柄と御会の運営状況との関係性、寛政期の光格天皇の動向を立体的に提示することを試みた。