- 著者
-
磯部 智也
Tomonari ISOBE
- 雑誌
- 福祉社会研究 = The review of welfare society (ISSN:13471457)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.49-58, 2007-03-01
70年代のスタグフレーションを契機に、ケインズ主義的経済政策は終焉したと言われ、その後新自由主義が台頭し、現在では格差社会が拡大している。本論の課題は、ケインズ自身の著作を紐解くことを通じて、当時のイギリス経済の彼の見解を再考することによって、現代経済との共通の問題点を明らかにすることである。ここでは、ケインズの分配論に焦点を当て、そこから導き出される有効需要論・技術選択、資本係数などの諸論点を、置塩理論を手がかりに、ケインズ自身の分析が今なお意味を持つことを明らかにする。約80年前の彼の著作からわれわれは何を見出すことができるのか。技術選択・資本係数が決定的な要因をしめることを本論では明らかにしたい。