著者
田村 昌進 Tsuda N.
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.155-162, 1961

この重量式自記積雪量計については1958年の本誌(Vol.9 No.2)に報告したがその後一部を改良して二基を試作し長野県上高地と高田に設置して実地試験を行つたのでその改良型の構造の概略と実地試験の結果を報告し,同様の原理を用いた自記雨雪量計についてもその構造ものべた。<BR>自記積雪量計の主な改良点は歪計の変位量を拡大し自記部に伝達する為に「ナイフエッヂ」を支点とした二重積桿を用いたことである。次に実地試験地としての高田は風弱く気温はあまり下らず積雪は平均に積り非常に条件のよい場所であつたが上高地は低地で水の溜り易い場所であり気温が低くなる為にこれが凍つて積雪の最下層は殆んど氷盤となり厚い所は5cmにもなつた。また風が強く雪は平均に積らず傾斜して積り非常に条件の悪い場所であつた。しかし自記記録の結果は第5図に示すように「サンプリング」の値と殆んどよく一致して居り第6図の高田の結果と比較して遜色がない。<BR>次に自記雨雪量計は上記の自記積雪量計の性能を更に拡張補捉したものであり,積雪量のみならず融雪量も測定でき夏期にはそのまま雨量計として用うることができるようにしたもので,その構造は受雪部の床の中央部を低くし融雪水や雨水を集め之を自記部の下にある地下室に導いて転倒桝で測りその回数を積雪量と同一の自記紙に記録させるようにしてある。これは地面に落ちた雨や雪をそのまま測るのであるから普通の雨量計や雪量計のように捕捉率等を問題にする必要がないことを特長とする.