著者
王 一令 鷲尾 純一 Wang Yi-Ling Washio Junichi
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.7-19, 2002-03
被引用文献数
1

本研究の目的は、日本語を母語とする聴覚障害児の韻律知覚能力を調べることである。そこで、2モーラ単語アクセントと2語文イントネーション(肯定/疑問)を用いて、弁別テストと識別テストを含む検査用バッテリを新たに開発した。これらの検査を東京都と千葉市にある小学校きこえの教室に通級する児童16名を対象に実施した。主な結果は、以下の通りである。1)アクセント、およびイントネーションの知覚能力と平均聴力レベルとの相関に関しては、中程度から高い負の相関(r=-0.494~-0.778)が認められた。平均聴力レベルが91dB以上(WHO の分類による最重度)であれば、アクセントとイントネーションの知覚は困難になることが示唆された。2)アクセント、およびイントネーションの知覚能力と語音明瞭度との相関に関しては、高い正の相関(r=0.694~0.966)が認められた。語音明瞭度が80%以上であれば、アクセントとイントネーションの知覚はより高いレベルになることが示唆された。